経営革新計画のメリット: 制度融資、補助金を活用した資金調達

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杉野 洋一

IT系企業、会計ファームにて広くクライアントを支援する傍ら、韓国・インドにて教育・指導・通訳に従事するなど多様な文化・企業環境において活躍。中小企業診断士として独立後は中小企業を中心に「真にクライアントに寄添う経営支援」を信条とし、最近は事業成長に向けた経営指導、業績不振企業への経営改善・事業再生など、幅広く経営指導に携わっている。

本内容は執筆時点での情報を基にしています。その為、最新の状況とは異なっている可能性があります。最新の情報は関係機関或いは当組織まで必ずお問い合わせください。東京都であれば、トップ > 中小企業支援 > 商工 > 経営支援 > 経営革新計画に情報が集約されています。

経営革新計画は、経営計画を作り、都道府県の認定を受ける制度です。 経営者である皆さんの構想を可視化し、公的なお墨付きを受ける意義は、 社内或いは社外に向けた経営者の意思表示としての利点が大きいものです。 経営革新計画のメリットを最大化したい方は当組織にご相談ください。 ただ、本稿では制度融資、補助金といった実利の方を解説します。

経営革新計画とは?

経営革新制度は、見込みのある経営計画を策定し、都道府県の承認を受ける全国的な制度です。経営計画は経営者の構想を見える形にしたものと考えられますので、本制度は国や地方自治体に対して発表する経営計画と考えられます。勿論、策定した計画書は、金融機関に見せても良いですし、社員向けに見せても構いません。国や地方自治体と書きましたが、公共機関に準じるもので中小企業経営にとって大事な機関が、日本政策金融公庫と信用保証協会になります。本制度ではこの2つの機関でも優遇を受けることができます。

どうしたら経営革新計画の承認を受けることができるか?

経営革新計画の承認を受けるためにはいくつかの条件があります。

  • 法律の定める中小企業の条件に合致すること

    中小企業等経営強化法に中小企業の定義が定められており、この条件に合致する必要があります。

    業種 資本金、出資金 常時使用する従業員
    製造業など、②~④以外の業種 3億円以下 or 300人以下
    卸売業 1億円以下 or 100人以下
    サービス業 5000万円以下 or 100人以下
    小売業 5000万円以下 or 50人以下
  • 1回以上決算を行っていること

    1回以上の確定申告が必要となります。

  • 指定の書式に従って書く

    お役所なので所定の形式に従っていないとだめです。トップ > 中小企業支援 > 商工 > 経営支援 > 経営革新計画

  • 新事業に取り組むこと

    計画書を策定する際に、新事業は既存事業と何が違うのかを記載する必要があります。

  • 付加価値額と経常利益額が定められた伸び率を実現する計画であること

    計画策定時の付加価値額と経常利益の伸び率が決まっています。ここでいう付加価値額とは「付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費」、経常利益とは「経常利益 = 営業利益 ー 営業外費用」となります。営業外収益はここでいう経常利益には含まれませんのでご注意ください。詳細に関しては以下の通りです。

    計画期間条件①
    「付加価値額」又は
    「一人当たりの付加価値額」の伸び率
    条件②
    経常利益の伸び率
    3年計画 9%以上 3%以上
    4年計画 12%以上 4%以上
    5年計画 15%以上 5%以上
  • その他の条件

    法令及び公序良俗に反し、又はその恐れがある場合、 計画の内容に確実性、具体性、実効性が認められない場合、 公的な支援を行うことが適当でないと認められる場合という記載があります。

計画書が完成したら、都道府県の指定の窓口に提出します。2か月程度で承認結果が通知されます。

経営革新計画を利用した資金調達とは?

資金調達には、経営者からの入金、株を通じた出資、借入れ、補助金などがありますが、ここでは借入と補助金について説明します。

  • 信用保証協会の保証枠拡大

    最近では地銀、信金など地域金融機関が100%リスクをとって融資することは珍しくなりました。金融機関が100%リスクをとった融資を「プロパー」といいます。プロパー融資に代わって、信用保証協会がリスクの一部をとる責任共有制度による融資が増えてきたのです。責任共有とは融資が貸し倒れ、回収が不可能になった場合に、その額の一定割合を保証協会が金融機関に支払う仕組みのことです。そこで金融機関としては融資を検討している企業に対し、保証協会が保証してくれる最大額が気になります。これを「保証枠」、或いは単に「枠」と言ったりします。

    それでは、保証枠は幾らなのでしょうか。最終的には審査を受けてみないとわからないのですが、巷でよく言われるのは月商×2か月分、或いは(経常利益+減価償却費)×返済年数という式です。

    経営革新計画の承認を受けるとこの保証枠が2倍になると言われています。保証の最大額は公表されているのですが、実際にいくらの枠があるのかは審査を受けてみないとわかりません。但し、公表されている保証最大額は2倍になっています。保証の問題で融資を断られた企業も新しい借り入れを起こすことができるようになります。融資の申し込みは通常とどうように地域の金融機関を通じて行います。

  • 日本政策金融公庫からの融資

    「株式会社日本政策金融公庫」において、経営革新計画に基づく設備資金及び運転資金について、通常の融資より低い利率で融資を受けることができます。新事業活動促進資金

  • 自治体の制度融資

    自治体の制度融資とは、自治体が信用保証料や利子の一部を補助してくれる融資です。そのため、金融機関に直接申し込むより有利な条件で借りられることがあります。また、制度融資では、前述した保証協会の保証割合が高くなることもあり、金融機関にとってもより貸しやすくなっている場合があります。都道府県でもありますし、23区のような自治体でも取り扱っている場合があります。詳しくは地元の自治体にお問い合わせください。東京都の場合:東京都中小企業制度融資

経営革新計画と関連する補助金

経営革新計画承認を前提とした補助金もあります。幾つかの補助金では経営革新計画の承認が条件となっており、他の補助金では採択時の審査点に加点されます。


その他、詳細、最新の情報をお知りになりたい方、新事業の資金調達をご検討中の方は下記のリンクよりお問い合わせください。


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杉野 洋一

IT系企業、会計ファームにて広くクライアントを支援する傍ら、韓国・インドにて教育・指導・通訳に従事するなど多様な文化・企業環境において活躍。中小企業診断士として独立後は中小企業を中心に「真にクライアントに寄添う経営支援」を信条とし、最近は事業成長に向けた経営指導、業績不振企業への経営改善・事業再生など、幅広く経営指導に携わっている。
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